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【第二回】Travis Japanのワンナイト人狼を振り返る【考察】

例に漏れずTravis JapanYouTube「ワンナイト人狼」を公開直後から死ぬ程見ています。今回の記事でも、コイツ一体何を言っているんだ…?という部分が散見され恐縮ではありますが、Travis Japanのゲームの流れを解説していきたいと思います。

 

人狼基本ルールのおさらい】

村の中に人を喰う「人狼」が紛れ込んでいます。村人たちは1日1回、話し合いの末に人狼かもしれないと思った怪しい人物を1人、処刑する事ができます。処刑した人物が見事人狼であればそこで人喰いは止められますが、推理が外れ処刑した人物がただの村人であれば、またその夜1人人狼に喰われて犠牲になってしまいます。村人全員が人狼に喰われる前に、人狼を処刑できれば村人陣営の勝利です。これが基本ルール。

 

【今回のルールと役職】

前回に引き続き、今回も通常何夜かに渡って行われる処刑がたった1夜のみ。ワンナイトです。つまり村人達はその1回のみの処刑で村人の中に隠れる人狼を当てなければいけません。カードは村人3枚、人狼2枚、占い師1枚、怪盗1枚、村長1枚、そして今回から加わった吊人1枚の全9枚です。その内7枚のみが1人ずつに役職として配られ、2枚は残されます。
◼️村人→村の約半数を占めます。何の能力も持ちません。

◼️人狼→村人を喰います。処刑されてしまえば終わりなので、自分が人狼と悟られないようにしなければいけません。全員に配られた7枚のうちに、人狼2枚ともが含まれていたら、人狼同士は仲間を知る事ができ、お互いに協力する事が出来ます。

◼️占い師→怪しいと思った人物の正体を1人だけ、もしくは、配られなかった残りの2枚のカードを見る(占う)事が出来ます。

◼️怪盗→相手が気付かない状態で、自分と相手のカードを交換(役職を盗む)事が出来ます。

◼️吊人→村人側にも、人狼側にも属さない第三の陣営です。村人に協力する事もなく、人狼の味方をする訳でもありません。人狼として疑われ、一人で追放される事を目指します。見事「人狼だ」と疑われ、処刑されれば吊人の一人勝ちという、とてもトリッキーな役職です。誰の味方もせず一人勝ちを目指す立場なので、誰の発言を揺さぶっても、引っ掻き回してもお構いなしです。

 
今回も、通常であれば何回(何夜)かかけて村人の中に隠れている人狼を探すルールを、「ワンナイト」(1夜きり=1回きり)という縛り付きで行います。

ただでさえ、1回しかない処刑のチャンスです。「お試しで処刑」が出来ないからこそ、その1回を失敗に終わらせない為に、慎重に人狼や他の役職を見定めなければいけません。しかも今回はここに「吊人」という、誰の味方もしない第3陣営が加わります。吊人は村人と協力して人狼を探す事も、人狼と協力して村人を欺く事もしてくれません。全員を出し抜いて、自分を人狼だと思わせ、処刑させる事だけに全力を尽くす厄介な存在です。この吊人の存在が、Travis Japanの頭脳戦にどんな影響をもたらすのか。では、第1ゲームの流れと彼らの発言から、Travis Japanの心理戦を追いかけていきたいと思います。(以下解説において役職を最初に提示しますため、ネタバレを含みます。動画未視聴の方は、視聴後にご覧下さい。役職紹介時、敬称略。)

 

 

【第1ゲーム】

配られた役職は以下の通り。
◼️村人:川島、七五三掛

◼️人狼:宮近、中村

◼️怪盗:吉澤

◼️占い師:松倉

◼️村長:松田

 
①各役職からのゲームの進め方について

まずカードが配られた時、ほとんどのメンバーが自分以外の役職を知る事は出来ません。知る事が出来るのは、誰か1人の役職を盗む事ができる「怪盗」と、誰か1人の役職もしくは配られなかった役職2つを見る(占う)事ができる「占い師」、そして配られた7枚のうちにもう1人の仲間がいた場合の「人狼2名」です。

人狼が2人いた場合、その組み合わせによってはゲーム開始直後からの動きに大きな差が出ます。仲間の人狼と協力してうまく他の役職になりすまし、村人の捜査の目を撹乱する事も一つ、処刑は1回しか無いのだから、村人の振りをして大人しくしておく事も一つです。特に人狼は2人いる場合、1人が処刑されてしまうともう1人も同陣営で負けが決まってしまうので、2人居るのであれば協力した方が得策です。

では、まず名乗りを上げた占い師の松倉くんの動きから考えてみます。占い師のカードを引いた松倉くんは、誰か1人のカードを見る事が出来るか、配られなかったカード2枚を確認する事が出来ます。運が良いと確認できたカードによっては、人狼が何人いるか分かったり、誰が人狼かピンポイントで見抜けたり、村人陣営にとっては大きな役割を担っています。宮近くんに「何を見た?」と聞かれ、ここで松倉くんは「慎重に行きたい」と答えを出し渋ります。占い師が何らかのカードを見ておきながら、その答えをすぐには教えず、慎重にいきたいと答える理由は一つ。人狼の人数もしくは正体を把握した時、のみです。松倉くんが確認したカードは配られなかった2枚。吊人と村人でした。という事は残りの7枚に人狼2枚が含まれていて、正体は分からないけれど、7人のうち2人が人狼であるという事が証明されたという事です。まだ全員が役職を名乗っていない状態で、占い師が早速正直に「人狼がこの中に2人いる」と教えてしまえば、人狼は協力して身を隠してしまう事になり、村人陣営はその尻尾を掴む事ができずに終わるかもしれません。松倉くんの判断は適切でした。

では次に、何だか色々な発言のタイミングを間違えて、途中まで人狼だと疑われていた「怪盗」しーくんの動きについてです。怪盗であるしーくんは、誰か1人の役職を盗み、相手と交換する事が出来ます。盗んでいたのは松倉くんの役職「占い師」でした。第1ゲーム開始から、発言のタイミングを間違えたり何だか怪しい言動が多く見られたことから如恵留くんにも「これは(閑也が)吊人だよ」とまで言われてしまう程に始終、怪しんでください!と言わんばかりでしたが。ここでしーくんが「自分は怪盗で、盗んだのは松倉の占い師だ」と発言した事で風向きは少し変わり始めた気がします。松倉くんは最初に、「自分は占い師である」という事を公表はしていますが、それは他の役職視点では本当かどうか判断がつきません。しかし、誰かの役職を盗む事ができる怪盗からは、松倉くんが本当の占い師である事が分かりますし、役職を盗まれた松倉くんも、他人からは真相が分からない中で自分の役職を占い師だと言い切ってくれた事により、しーくんが本当の怪盗であるかもしれないという信憑性が増しました。その為、松倉くんはしーくんと同じタイミングで「怪盗だ」と名乗り出た宮近くんを、どこか怪しい対象として、観察し始めたかもしれません。

 
②占い師と人狼の攻防

しかし、松倉くんにとって自分の役職を言い当てたしーくんが、本当の怪盗であるという信憑性がほんの少し増しただけであって、本当に怪盗かどうか言い切る事は出来ません。もしかしたら、松倉くん本人が「占い師」である事を公表した事に乗っかっただけの、怪盗を偽った人狼なのかもしれません。

占い師である松倉くんはすでに配られていなかった2枚のカードを見てしまっている訳なので、配られたカード7枚の内どれか1枚を再び見る事などは不可能です。つまり、自分が見た、配られていなかったカード2枚の正体をここで明かす事で、同じタイミングで怪盗として名乗り出た宮近吉澤のどちらかを振り落とす方向へシフトチェンジしようとした可能性があります。どちらか人狼なのか、正体は分からずとも何らかのヒントを得られるはずと考えるのは妥当です。配られていないカード2枚は「村人」と「吊人」。という事は、村人陣営にも人狼陣営にも属さない厄介な吊人は居ないという事になり、ゲームはシンプルなものになっていきます。嘘か、本当か、これだけです。この第1ゲームに登場しない吊人は、自分が処刑される為だけに場を掻き回すので、発言が嘘なのか本当なのか読みきれない部分が大きく、ゲームは混乱するばかりです。その吊人が居ないという事は、先程まで怪しい言動が多かったしーくんは、吊人の対象から外れ、次に「人狼」なのでは、という新たな疑惑がかけられます。如恵留くんがしーくんに「コイツが人狼のパターンもあるよ」と疑いの目を向けた瞬間、即座にノッたのは本当の人狼、宮近くん。「仲間が誰かだよね」と、既にしーくんが人狼だと仮定してもう1人の人狼を炙り出そうとしています。つまり、しーくんが人狼だとしてしまえば、同じタイミングで名乗り出た自分は怪盗となり、同じく本来の人狼であったはずのうみちゃんを、「怪盗で海人の役職を奪ったら村人だった」と、村人に仕立て上げる事が出来ます。後に如恵留くんが語った「ちゃかが仮に人狼として、閑也が粗相した事を逆手に取って自分が本当の怪盗として出たら人狼(2人)は安泰…」はその通りの指摘だったなと。普通は同じ役職が2人も居て、しかもそれが誰かの役職を言い当てなければいけない「怪盗」になり切った上での話だとしたら、怪盗でもないのに、自分以外の本当の役職なんて分かる訳がない。本当の役職が分かるのは、もしくは嘘の役職で言い当てた振りをして良いのは、1人だけ。もう1人の人狼だけなんです。これは、人狼が2人居るからこそできる連携だったなと思います。策士…宮近海斗という男…。

ただここで黙っていないのが占い師、松倉くん。「思い浮かんだのが元々しずと海人が人狼で、ちゃかが海人の人狼を盗ったパターン」。ほぼ正解です。と言うか、ここまで村長である元太くん、村人であるのえしめはほとんど話し合いの中で自分の役職について発言をしていないので、必然的に松倉くんを除くこの3人が怪しまれるのは避けられない流れでした。ここまで適切なタイミングで推理を入れてくる占い師と、逃げ続ける人狼の攻防が見事でした。

 
③村人の観察眼

ここまで割と静かであった村人しめちゃんが、ようやくここで口を開きます。「ちゃかが怪盗で(海人の役職を奪う)ってこと?そしたら多分(海人の役職を)村人って言わないと思う」。この発言ね、サラッとしていますけどしめちゃん。すごい考え方なんですよ。裏の裏の裏を読んでいる。

もしも松倉くんの仮説「吉澤、中村が人狼で、宮近が怪盗。怪盗が人狼の役職を盗った」が正しいものだとして、人狼の役職を奪った怪盗は、相手の本当の役職を言うでしょうか。相手が人狼だった!と皆に教えて、無事に処刑して良かったねで終われるのは、相手がその時も人狼のままでいる事が条件です。怪盗ですから、役職は自分と入れ替わっています。つまり、松倉くんの仮説の上では、宮近くんが怪盗としてうみちゃんの人狼を奪っていたとしたら、今現在、宮近くんは人狼という事になります。「海人は人狼だったよ」と申告するべきですが、普通はそんな事言いません。そんな事を言えば今相手と役職を交換している自分が処刑される事は明白だからです。その理由(自分が処刑される事を避ける為)から、「相手(海人)は村人だったよ」と周りに嘘を話して自分の処刑を回避する事も出来ますが、もしうみちゃんが本当に元人狼だった場合、「本当は人狼だったのに、周りに処刑されないために相手は村人だったと言ってるんだな」と判断する事が出来ます。その時点でうみちゃんは村人陣営、宮近くんは人狼陣営ですから、宮近くんはその発言で墓穴を掘り、処刑されてしまうリスクが高まります。

頭の回転が速い宮近くんなので、そんなミスはあり得ないでしょう。つまり、冒頭の怪盗として名乗り出た時に「海人は村人だった」と発言をしたのは、相手から攻撃されない確証がある、つまり、相手と自分が同じ人狼陣営である事が双方で分かっていたからです。自分を怪盗とし、相手を村人だったとする事で、どちらも人狼陣営である事は伏せる事が出来ますし、ここ2人が仲間である事を悟られないようにする事も出来ます。

しめちゃんの言う「宮近は中村を村人と言うのはおかしい」は、これらの複数の理由から来る考えです。もうこの時点でしめちゃんは、Wカイトが人狼である事をほぼほぼ悟っているのだと思います。あまりにも高度過ぎる推理。頭痛くなってきた。

 
④追い詰められる人狼と折れた人狼

さて、松倉くんの指摘は続きます。松倉くん本人も言っていましたが、配られていないカード2枚を「吊人」「村人」だと申告したのは、宮近くんが怪盗である事を告白した後です。このタイミングは松倉くんの想像以上に、人狼である宮近くんの行動範囲を狭めました。「だから俺早めに(役職)言いたかった」。もう心の声漏れてますが、まさしくそうだと思います。配られていないカード2枚が占い師によって公表されていないままだとしたら、当然ですが7人に配られたカードも占い師以外は知り得る事は出来ません。人狼がこの中に何人居るのか、はたまた1人も居ないのか。つまり、一度は怪盗と申告した宮近くんも、本当は怪盗ではないかもしれないですし、本当の事を話す義務はどこにもありませんから、本当の役職は人狼かもしれませんし吊人かもしれません。松倉くんは宮近くんが「吊人になり切ろうとしていた可能性もある」と指摘しました。人狼と吊人は、起きるかもしれない結末として「処刑される」という点においては共通していますが、そもそもの行動の目的が全く違います。人狼は、村人陣営に正体がバレないように、つまり、処刑されないように動かなければならないのに対して、吊人は人狼のフリをして、自分が処刑されるように仕向けなければなりません。つまり、役割の正体が人狼なのか吊人なのか分からない内は、傍目には「処刑するべき対象」として同じように映っているはずです。人狼であれば、処刑してしまえば村人陣営が勝ちますが、それが吊人の演技だとしたら、吊人の一人勝ちとなってしまいます。どれだけ相手が怪しい行動をしていても、サクッと処刑してしまってそれが吊人であったら終わりです。つまり宮近くんの「吊人になり切ろうとしていた」疑惑は、本当は人狼だけど、吊人だと判断されたら処刑される事は絶対にないから吊人のフリをしておこう、という考えを松倉くんがとても上手に見抜いていたからこそでした。松倉くんはこの点(吊人と人狼の行動の類似性)を危惧していました。だからこそ、松倉くんの「配られていないカードは、吊人と村人」という発言は、この問題が起きる可能性を大きく減らし、推理を解決に一気に導いたのではないかなと思うのです。

ここから、しーくん視点であっても、しめちゃん視点であっても宮近くんは漏れなく人狼疑惑者として名前を挙げられます。ここまででも十分追い込まれていますが、追い討ちをかけたのが、もう1人の人狼の存在でした。役職を公表して来なかった残りの3人(川島、七五三掛、中村)が全員村人として名乗り出た事から事態は大きく動き出します。占い師松倉くんによると、配られなかったカード2枚は「吊人」と「村人」。村人は最初から3枚しかないので、本来の村人は7人の内2人だけのはずです。この3人だけの中で「嘘をついている村人」を探すのは難しいのですが、唯一他の役職との関わりの中で、自らの役職を名指しされているメンバーがいましたね。中村海人さん。怪盗として名乗り出た宮近くんが「役職を盗った」と言った、「村人」の中村海人さん。③でしめちゃんが指摘した通り、本人が名乗った通りなら怪盗であるはずの宮近くんが、うみちゃんの盗った役職を「村人」というのはおかしな話なんです。

つまり、もう何を言ってもWカイトが共謀していた事は明白です。反論する余地もないと判断したのか、抵抗なしに白旗を上げたもう1人の人狼が名乗り出て、宮近くん大変頑張りましたがゲームオーバーでした。

 


【第2ゲーム】

配られた役職は以下の通り。
◼️村人:中村、松田

◼️人狼:吉澤、宮近

◼️怪盗:川島

◼️占い師:不在

◼️村長:松倉

◼️吊人:七五三掛

 
第2ゲームは、まさかの占い師が不在。占い師が不在ということは、言った事を信じてもらえるかどうかは別にしても、7人のうち1人の役職、もしくは、配られなかった役職2枚を見る事が出来る人が居ないという訳です。占い師は人狼探しにおいて要となる存在なので、ここが欠けてしまっていては村人陣営にとっては大きなマイナスからのスタートを意味します。

そして今回は、村人陣営、人狼陣営、どちらにも属さず一人勝ちを目指す吊人が役職として入っています。第1ゲームの解説でも記したように、人狼と吊人というのは紙一重の存在です。処刑されないようにする人狼と、処刑されようとする吊人。一見正反対のものを目指す双方ですが、正体が分からない限りはどちらか判別がつかないほど行動の怪しさは似ている事がほとんどです。こんな厄介な存在の吊人が「7人の中にいるのか」「いないのか」というのはとても重要な情報なのですが、占い師不在ではその手がかりを得る術すらありません。どうなる、Travis村人陣営Japan。

今回、約半数のメンバーが本当の自分の役職を公表してないんですよね。ここが、このゲームをややこしくさせた一番の理由です。では1人ずつの視点を考えながら、第2ゲームを紐解いていきます。

 
人狼陣営の虚偽について

まずは人狼陣営(宮近、吉澤)。この2人は最初からお互いが人狼である事を知る事が出来ています。共謀して村人陣営を騙す事が出来ますね。最初「怪盗から名乗り出よう」という流れになった時、自分は怪盗だと申告したのは人狼のしーくんと、吊人のしめちゃんでした。この場面において人狼であるしーくん視点から見ると、しめちゃんの存在はとてつもなく厄介です。自分は怪盗を偽った人狼なので、本当の怪盗かもしれないしめちゃんの前で下手な発言は出来ません。その為「(盗んだ松倉の)役職は言わない」と情報を伏せています。そもそも本当は怪盗ではないので松倉くんの役職も知り得ません。

仮に人狼が怪盗と偽り名乗り出た時に、自分以外の誰も挙手をしなければ(怪盗の役職が7人に配られていない、もしくは、7人のうちの誰かは本当の怪盗だが言い出してこない)、怪盗という役割を乗っ取り相手の役職を適当に言い当てながら、人狼陣営に有利な形で話し合いを誘導する事も出来るかもしれません。ただこれの盲点として、本物の怪盗が素直に申告せず、虚偽の怪盗が暴れ回っているのをじっと見ているだけだとしたら。知らない間に本物の怪盗は、交換した自分の元役職、現役職、そして偽怪盗の大体の役職(恐らく人狼か吊人の確率が高い)と、約3分の1を把握する事が出来てしまいます。その偽怪盗に話を合わせるような人物が居たら、2人目の人狼も推測されるかもしれません。自分に有利なように話し合いを進めていたと思っていたら、最後の最後で本物の怪盗に足元を掬われたというのが、一番あり得るパターンです。今回はまさにそれだったのかもしれません。

そして、怪盗の役職を奪うことにおいて、しめちゃんの登場で怪しまれる可能性も出てきたしーくんを見て、もう1人の人狼である宮近くんも勝負に出ます。それが、占い師として名乗り出る事でした。偽占い師の宮近くんは「下2枚(配られていない2枚)を見た」「吊人と村長だった」と皆に告げます。元々占い師カードは実際には配られていませんから、7人の中に本物の占い師はおらず、宮近くんが本当の事を言っているのか嘘を言っているのかは如恵留くん以外には誰にも判別できないはずです。この点(たまたま占い師は配られていなかった)については偶然なので、宮近くんはラッキーであったはずです。ただ、単純に言い方が怪し過ぎた事と、その後に本物の村長である松倉くんがすぐに名乗り出た事で、全員何となく「宮近が怪しいのではないか?」という空気にはなってしまいました。そして更に、先程怪盗として名乗り出たしーくんが、松倉くんの役職を「村人」と言った事で、こちらもまた本当に怪盗なのか?という疑いをかけられる事になってしまいます。松倉くんが村長を偽っている可能性もこの時点では否定できないのですが、今のところ松倉くんに怪しい言動がない事と、村長を偽るメリット(つまり人狼である可能性)が発生するほど松倉くんは話し合いの中で大きな動きを見せていませんでした。怪しさの天秤にかけた時に、どちらが虚偽の申請をしている可能性が高いかと言われると、分かりやすく怪しかった宮近・吉澤側に傾くのは致し方ない流れかなと思います。

 
人狼陣営をうまく利用した怪盗

では、次に怪盗を引いた如恵留くんサイドからゲームを見ていきます。怪盗である如恵留くんは、他6人のうちの1人と、相手に知られる事なく役職を交換する事ができます。如恵留くんが選んだのは人狼である宮近くんでした。この時点で、川島人狼・宮近怪盗と役職が変更になっています。ただ、交換された事を宮近くんは知りませんから、如恵留くんから見たら宮近くんはずっと人狼のつもりで振る舞っている事になります。つまり、もう1人の人狼がこの中に居るとするならば見極めるチャンスがあり、人狼となった自分と、元々人狼のその人に票を集めないように動かなければなりませんし、人狼が宮近くん1人だけだと判断できれば、役職を交換した自分に票が向かないよう誘導するだけです。

そんな中で①の流れがあり、七五三掛・吉澤が「怪盗」と、宮近が「占い師」と名乗り出ました。この時点で元々怪盗であった如恵留くんは、しめしずの2人が「嘘をついている事」は一目瞭然ですし、自分が役職を盗った宮近くんは元々「人狼」でしたから「占い師」な訳ありません。そして、嘘をついてなさそうな松倉くんがすぐに村長と名乗り出た事を仮に真実と肯定して「松倉がリアルに村長だとしたら、(松倉を村人だと言った)しめしずは怪しいし、かつ、ちゃかも下2枚見てるっていうのも怪しい」と言い切れます。この時点でまだ如恵留くんはもう1人の人狼の存在を掴み切れてはいませんが、しめしずの役職を、人狼もしくは吊人と睨んでいるのではないかと思えます。

 
③翻弄される村人陣営

さて、虚偽の申告が飛び交う第2ゲームですが、役割上、何のヒントも与えられず全く情報を掴めていない人達がいます。それが中村・松田の村人陣営です。ここまでの流れにおいて、何らかの役職を与えられた人は自分の役職を除いてある程度予想したり推理したりする事は出来ますが、村人は手がかりすら与えられません。皆が発言する事が本当なのか嘘なのか、0から見分ける必要があります。

うみちゃんは言動が単純に怪しかった宮近くんを「吊人の可能性がある」と踏みます。そもそも人狼は怪しまれてはいけないので、自ら怪しまれに行っている吊人ではないか?と睨むのは当然の流れです(「村長のカードが下にあったからお前(松倉)も上がってきたんだよ」という宮近くんの発言は訳が分からな過ぎて笑いましたが。もはや宮近くんヤケクソ)。そしてここまでの流れを受けて誰の信憑性も低いと判断したうみちゃんが「占い師、下なんじゃない?」と、占い師のカードが本来配られていないのでは説を提唱します。あまりに話し合いが噛み合っておらず難航しているという事は、占い師が不在か、もしくは占い師が本当の事を言っていないか、という2つが考えられるからです。占い師は本来村人陣営なので、嘘をついたり名乗り出ない必要はどこにもありません。つまり、やはり占い師は不在(=宮近は占い師ではない何か)という事になってきます。

村長である松倉くんも、本当はヒントが与えられていない村人陣営のうちの1人ですが、怪盗であるはずのしめしずが松倉くんの役職を「村人」と外した事と、占い師であるはずの宮近くんが「配られていない2枚は吊人と村長だった」と発言した事を受けて、誰も本当の事を言い当てておらず、この3人がなんとなく怪しく、人狼・吊人候補として挙がってくる事は松倉くんだけに与えられた確証です(他の人から見てもこの3人は怪しいのですが、松倉くんが本物の村長だという証拠は松倉くんしか知らないので)。そんな中、再び偽占い師の宮近くんが「本当の事を言うと7人の中に吊人はいる」と言い始めますが「下2枚は村長と村人だった」と付け加えるので、やはり宮近くんの発言は信憑性が低く、本来占い師は嘘をつく必要がないので、松倉くん視点からはほぼ偽占い師で確定です。

と、今まで割と発言をしてこなかった元太くんがここで「ケイ(松倉)が怪盗で、人狼を盗ってるパターンはないのかな?」と口を開きます。元太くんから見た時、まだ宮近くんは占い師ではないと断言は出来ません。宮近くん本人と役職を交換している如恵留くんや、自身が村長で宮近くんの発言を嘘と断言できる松倉くんのようなヒントを持ち合わせていませんから、とにかく全員の正体を炙り出す必要があります。占い師と名乗り出た宮近くんにもう一度「下2枚(配られていない2枚)が何だったのか?」を確認し、「吊人と村長…とは言ったけど」「吊人は(7人の中に)います」「(配られていない2枚は)村長と村人でした」と言い直した宮近くん。

これまでの情報を元太くん視点で整理して行きましょう。まず占い師で名乗り出た宮近くんが配られていない2枚を吊人と村長だと言いました。つまり、そう考えると配られた7枚のうち、3枚が村人という事になります。しかし、その後占い師が「吊人はこの(7人の)中にいる」「配られていない役職は村長と村人」だと全く違う結果を話し始めました。占い師は嘘をつく必要がなく、また、この時点で他の誰も占い師として名乗り出ないので、占い師が不在(配られていない)という事は確定します。また、言動からして吊人、人狼として疑わしいのは七五三掛、吉澤、宮近の三者。自分は村人なので、残った役職は、村人2、村長、怪盗です。のえんちゅは役職を公表しておらず推理するには情報が不足しているため、可能性として残っているならば、一度は村長として名乗り出た松倉くんが、実は怪盗を持っていて人狼の誰かと交換してしまったため、それを隠すために村長として名乗り出ている説です。持っている全ての情報から、一瞬で今考えられる(しかも今までの方向性とは全く別の)可能性を提示できる元太くん、さすが埼玉でもトップクラスのかしこ。

その直後に怪盗と名乗っていたはずのしーくんが「そうすれば(松倉が)村人って出るのか」と発言しており、如恵留くんも指摘したとおり、その発言は松倉くんが怪盗だと仮定していることになり、自らの怪盗申告を打ち消してしまう事にも繋がりました。となると、しーくんが怪盗として発言した「松倉は村人」は嘘となり、元太くんから見ると松倉くんは怪盗でも村人でもなく、本人が申告している通り村長である可能性が高くなるのです。日本でもトップクラスのかしこ。そして最初から最後までとても綺麗な目で真実しか言っていないのに、色んな疑いをかけられてしまう松倉くん。彼が村長を務める村は、どうか平和であって欲しい。

 
④唯一の吊人の魂胆と全ての鍵を握った怪盗

さて、最後に今回のキーマンとなる吊人、しめちゃん視点からのゲームの動きです。吊人はとにかく疑われる動きをして、処刑の時に皆から票を集める必要があります。ただ、怪し過ぎると逆に「吊人だ」と見抜かれてしまい、処刑の対象から外されてしまうのでやり過ぎも禁物です。

まずゲームの序盤、怪盗になりすまして名乗り出た所、対面に座るしーくんも同様に怪盗として名乗り出ました。怪盗が2人いる訳もなく、松倉くんの役職も外し、また、その他にもまずまず怪しい人物として宮近くんが挙げられています。自分1人だけ最初から怪しい動きをすると、処刑されたがっている吊人だと見抜かれてしまうので、人狼疑惑の数人の中に潜り込む事ができ、この時点でしめちゃんとしてはまずまず良い滑り出しです。さらに③で怪盗の可能性を打ち消されたしーくんが方向転換して「俺シメに盗られてる、人狼を」と言い始めます。これは、怪盗の可能性が打ち消されてしまったため人狼として処刑される確率が上がってしまったしーくんが、今度はしめちゃんの怪盗発言に乗っかり「怪盗に役職を取られてしまい自分は人狼ではなくなった」「代わりにシメが人狼だ」としめちゃんに人狼を押し付けようとしたためです。普通なら焦る出来事ですが、しめちゃんは吊人です。自分に人狼疑惑が高まれば、票が集まって処刑となり一人勝ちができます。またとないチャンスです。小さい声で「盗ってない」と否定するだけで、大声を上げて反論なんて全くしません。うみちゃんも「その可能性が見えてきたな〜」「今の話だったら(宮近が)吊人じゃん」と乗っかります。世論が大きく動き、七五三掛人狼・宮近吊人説に傾こうとした所を、この人は見逃しませんでした。

本当の怪盗である如恵留くん。如恵留くんはこの時点で殆どの役職を掴んでいます。まず、自分は怪盗で宮近くんの人狼を盗っています。ここは確実です。あとは推理で考えていく事になりますが、怪盗の可能性を打ち消された途端、自分は人狼だったがシメに役職を盗られた!と急に言い始めたしーくんは、処刑される事を避けようとしている本当の人狼なのだと睨む事が出来ます。また、人狼扱いされているのに大して焦りもしないしめちゃんも、ほぼ確実に吊人なのだろうと踏んでいます。ここまで自分の役職を公表していないうみげん、そして最初から村長だと言い続けている松倉くんは恐らく村人陣営でしょう。また、誰も占い師として名乗り出ていない事から(宮近くんは名乗り出ていますが、元人狼である事を如恵留くんだけが知っているので)、占い師不在の村と判断できます。その為「今回、占い師と怪盗がいない村なんだよ。人狼人狼、吊人(宮近、吉澤、七五三掛)のパターンで。だから多分シメに入れない方が良いかも。」と皆に提言するのですが、この発言の恐ろしさが分かりますか。占い師不在の村であると判断できるとは言いましたが、ちゃっかり怪盗(自分の役職)も不在にしています。占い師同様、怪盗の正体が7人の中でハッキリと定まらない事から如恵留くんはこのまま怪盗を無かったことにしようと考えました。そうしてしまえば、自分が宮近くんの人狼を盗った事にも気付かれず、自分に票が集まる事はありません。あとは、もう1人の人狼の救済と、吊人に票を集めさせない方向へシフトチェンジすれば良いだけです。吊人疑惑をかけられたしめちゃんが「リアルに俺は怪盗」「怪盗だから票は集まらない」と反論しますが、本当の怪盗は如恵留くん本人ですから、これも嘘だと断言でき、しめちゃんが吊人である確証が高まっていくだけです。

 
⑤もう1人の人狼の救済へ

しめちゃんが吊人だと予想がついた如恵留くんは、しめちゃんへの票入れを牽制しつつ、もう1人の人狼であるしーくんを救済する段階へと移ります。今までの言動から、人狼疑惑が高まっており処刑される対象となりそうなしーくん。この状況をどう打開するのか、という所ですが。

まず、しめちゃんを吊人だと皆に分かってもらう所からスタートです。宮近くんが吊人疑惑として槍玉に挙げられていますが、宮近くんが吊人でない事を知っている如恵留くんは、そうでない事を断言できます。「ちゃかは吊人じゃないよ。もし本当に吊人だったらあんなに最初わざとらしく間違えたりしないもん。吊人を装ってる人狼だよ」、「しめ絶対に(人狼と)違う(しめが吊人だ)」と。しめちゃんは「マジの怪盗。本当に怪盗。」と反論しますが、そもそも怪盗は如恵留くんの役職ですし、現にしめちゃんは松倉くんの役職も外しているのでこの反論は意味を為しません。ゲーム終了後にしめちゃんが「ちゃかが怪盗で俺の吊人を盗ったと思った」と話していましたが、宮近くんのあの言動の定まらなさは吊人に見えても仕方ないですし、自分の役職(吊人)がいつの間にか別のものに変わっていたとしたら、処刑されてしまっては勝てません。だからこそしめちゃんは、「自分は怪盗だ」と言い切る方向に舵を変えたのではないかと思います。

そしてゲーム終盤は怒涛かつ波乱の展開を迎えます。もうこのままでは勝てないと思った七五三掛、宮近両名が突然「実は人狼でした」と化かし合いを始めます。しめちゃんの言い分は「本当は人狼だったけど、怪盗に役職を盗られた」=「今は村人陣営」です。恐らくこの探り合いの中で、しめちゃんは自分の役職(吊人)が誰かに盗まれたと思ったのでしょう。一人勝ちを諦めて、処刑されないために動き出します。

それに便乗して宮近くんも「俺人狼だった」と乗っかります。これは決して宮近くんが白旗を上げた訳ではなく、如恵留くん以外から見た宮近くんはまだまだ人狼なのか、吊人なのか判断に迷う所ですから、場を引っ掻き回す発言をしていれば、裏を読んで吊人と判断され、票が入ってこないかもしれません。しかしここを見逃さない如恵留くんは、パワープレイ(本人談)を始めます。宮近くん自らが「自分は人狼だった」「(閑也と)仲間仲間!」と口にした瞬間から、如恵留くんはしーくんに票を入れさせない事ではなく、宮近くんに票を集める方へ方向性を変えました。他の人から見た時、今の所宮近くんのこの主張を100%信じると、宮近、吉澤が人狼という事になります。村長以外は1票ずつしか所持していないので、両名怪しくてもどちらか1人にしか投票は出来ません。どちらも同じくらい怪しいのであれば、少しでも人狼率が高そうな方へ投票するのが筋です。如恵留くんは、「2人(宮近、吉澤)とも人狼かもしれない」「でも、もし仮に七五三掛が怪盗として、吉澤の人狼を奪っているとしたら、吉澤が怪盗、宮近は人狼のままとなる」「しかもこんなに分かりやすい言動をしている宮近は吊人ではないと言い切れる(自分は宮近の元役職を知っているし)」という3つの説を唱えます。確実に人狼陣営を負かしたいのであれば、より確実に人狼と断言出来る方、つまり宮近くんへの投票が必要となる訳です。両名とも疑わしいのであれば、怪盗に変わっているかもしれないしーくんではなく、宮近くんを吊る方が無難だ、と押し切ります。人狼どちらかを処刑する事ができれば人狼陣営の負けですから、投票するのは別にしーくんじゃなくても良い訳です。「そう言われると確かに…」と言ってしまいそうになるほど、誘導が上手。最初からしーくんが人狼として疑われていた以上、疑いを晴らしての救済は無理だと判断した如恵留くんは、同じくらい疑われていた宮近くんの人狼の可能性を少しでも高めて投票へと持ち込んだのでした。

蓋を開けてみれば、人狼から役職を奪った如恵留くんと、救済できたもう1人の人狼しーくんでの見事な勝ち抜け。今回は、如恵留くんが怪盗を引いた事、そして、交換した相手がたまたま人狼であった事が大きな勝因だったと言えます。(宮近くんを選んだのは意図的な理由があったとのえまるで記載されていて天を仰ぎましたが)

 


以上!後書きする余力も残せないほどの、Travisワンナイト人狼Japanの振り返りでした〜!(疲れた)